2018/09/07

台風21号が教えてくれたこと

かなり強烈な台風21号は,9/4に伊丹スタヂヲの近所を駆け抜けて,日本海側に抜けて行った.JRは早々に阪神地区の各線を止める旨をアナウンスし,会社は前日には終日の出社禁止を決定し,まぁ,自分の部屋でネットサーフィンしながら,台風の情報を集めるくらいしかやることの無い1日だった....のだけれど.そんな中,それは突然起きたのだった.停電である.最初は瞬停が数回,4〜5回程度起きただろうか?うちのiMacは最初の瞬停で見事に停止.そして,その瞬停が数回起きたあと,今度は,本格的な停電が.一度は30分ほどで復帰したのだが,その30分後か,すべての電源が落ちた.電気が無くなると,光であろうと終端装置はshutdownする.すべてが止まったのだった.窓から見ていたら,近所の変電所の辺りでも,何かスパークが飛んでたっぽいしなぁ.伊丹スタヂヲは,冷蔵庫も止まったままだし,瞬間湯沸器も止まった.もちろん,ネットワークも止まる.やれやれ,である.ただ,電力会社は配電設備や配電の網管理に関しては,万全の体制を取っている,と聞いている.なので,時間を経ずに停電も復旧するだろう,と見込んでいたのだが.これがちっとも復旧しない.遠くに見える新大阪とか大阪の地区は,高層ビルの光が見えるのに,伊丹スタヂヲの入るマンションは全然復旧を見せないのだ.マンションなので,停電が起きると水道も止まる.エレベータも止まる.階段の電灯も消える.これは参った.夜になって,懐中電灯でも買っておこうか,と外へ出たのだが,マンションの階段の電灯も消えて階段が真っ暗.手すりを頼りに外へ出て,結局,海中電灯は変えなかった,のだが.....結局,ここまで社会基盤の全体が「電気」に依存しているんだな,というのは実感として持った.もうひとつ,腹が立つのは,線路の向こう側のマンションは,夜には灯りが灯っているのに,線路を隔てたこちら側はBlack outが続いているのだ.結局,夜中の02:30頃に,外で何かやっているなぁ,と思ったら,それから程なくして電力がやっと復旧したのだった.その後,マンションのポンプが復活したのか,水が出るようになったのは,朝の0600頃の頃である.
しかも,翌日,今度は会社に行くと,うちの会社の本体は停電していないのに,僕のいるオフィスは停電,という状況.朝,会社に行く時に,近所の会社の人も何故か始業時間も間近なのに,皆さん建物の外で待機している,という状況.なにがあったのだろう,と自分のオフィスに行くと,どうやら停電のまま,という状況である.これじゃ仕事にならん.そうは言っても,この停電がいつ終わるかが全く判らないといういこともあり,翌日以降の業務をどうするか,色々と調整作業をさせて貰って1日が終わった.まぁ,この日は,終業時間の17;00になったところで,やっと停電からの復旧が確認された.やれやれ,である.
そんな2日間が過ぎたその翌日には今度は,北海道で大地震と全道に渡る停電があって,ちょうど2日前の大規模停電を経験した身としては,中の人たちの苦労もまた自分のことのように感じてしまう.
さて,こうした状況を振り返るに,結局,日本の電力会社は一体何を仕事していたんだろう,と考えてしまうのだ.配電の,それも街中の電灯線の切断の復旧は,多分,電力会社が直接やっていなくて,下請けの〇〇電工とか,そういう外部委託がされていると思うのである.そこの人たちは,日夜を通して復旧作業にあたって頂いて,これは大変頭が下がる思いだ.だけど,では電力会社の経営層は何をやっていたのだろう,という疑問である.彼らは,電力料金の設定に関して,燃料代の高騰に対応して常に「あがり」が得られるような制度を勝ち取った.すなわち,必ず利益を得られる経営構造がある.この中で,これまで十分な設備投資をして来たといえるのだろうか?世間の議論を見ていると,その辺の議論が足りてない気がするのだ.本来なら,

  • 配電施設に関しては,末端の電柱に至るまで,IoTセンサを設置して,どこが現在断線しているか,すぐに検知できるシステムを組めなかったのか?
  • その情報を吸い上げて,今どこで何をしている,という情報を展開できるよう,情報管理ができないものか?
  • 関電に関しては,想定外に配電設備がダウンして,停電情報を適切に収集できなかった,と言うけれど,そもそもなぜ情報収集のサーバを大容量化することをサボっていたのか?
という疑問が生まれて来てしまうのだ.北電に関しては,大規模な発電所を1箇所作っていたと言うけど,やはり多重系の考え方が取り入れられていないんじゃ無いか,という疑念は抱いてしまうのだ.本来,評価されるべき箇所は,そこである.これに対して,電力会社の広報は,今のところ「想定外」という一言で済ませているように見えて仕方無いのだ.
多分,これは社会システムのインフラをサービスする全ての企業に言えることだ.現状がどうなっているか,その情報を適切なタイミングでユーザに提示して行く,という姿勢があまりに欠如しているように見える.公企業だからこそ,こうした姿勢はもっと神経を使った方が良いし,必要なら,たとえポーズでも良いので,社長や部長といった経営陣がサポートセンターで直接ユーザの声を聞く,とか,そういう姿勢を示してほしい,それが高い給料を貰っている経営陣の責任,なんじゃ無いかと思えて仕方無いのだが.初戦,この国の経営者は,そういう姿勢を見せることなく,この国の経済を殺して行くのかもしれない,とも幻滅している.
ちなみに....米国の場合,配電系はどうやら地方自治体の責任になっているらしい.その上で,良く落雷で停電していたのは事実.そこは,日本の電力会社の方が,しっかりしていた,のかもしれないが.しかし,ここまで「止まらない電源」を前提にして色々なシステムを組んでいるのも,あるいは問題なのかもしれない,とも思う.

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