2018/09/17

Nikon Dfを古いレンズで試す

この3連休,横浜の家に戻って,昔のレンズを持って来た.どうも,200mm/f4と24mm/f2.8のMFレンズが見当たらなかった....のだが,実家に電話したところ,どうやら,実家の方に置いてあるらしい.ちょっと想定外だったけど.横浜スタヂヲに置いてあるD200で使っていたレンズを確認すると,以下の通りだった.
  • Nikkor Ai 50mm/f1.4:マニュアルフォーカス
  • Nikkor AF-S DXズームニッコール ED 18-70mm F3.5-4.5G(IF):D200のレンズキット付属のレンズ
  • Nikkor AF-S 35-135:多分,96年頃にNikon F70を買った時につけた標準レンズ
  • DX Nikkor AF-S 18-200 /f3.5-5.6 G ED VR:D200用に買った広角〜望遠を賄うレンズ.1本持っていれば済むので便利....だった.
  • AI AF Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4-5.6D:望遠ズーム.VRも付いていない廉価版の奴.
今回,この中から,70-300mmと18-200mm VRのDXレンズ,そして50mm/f1.4のMFレンズの3本をDfでも使ってやろう,と伊丹に帯同することにした.
この中では,50mmレンズを付けた時が,一番,雰囲気が良い感じがする.右の写真は50mm/f1.4をDfに付けたところ.レンズのサイズとボディのバランス感が丁度良い気がする.そして,この古い50mmレンズが描きだす写真もまた,味わいが深いのだ.ちなみに,右の写真は,P340で撮ったもの.吐き出す絵の色合いは,また微妙にDfのそれと異なるのも面白いところだ.

上の写真が,この50mm/f1.4を使って撮った,街角の八百屋さん.昔,良くこういう,トラックで野菜や果物を運んで来て販売する八百屋さんあったよなぁ.小学生の頃,こういう八百屋さんとか,豆腐屋さんとか,当時住んでた町内にもやってきたものだ.
そして,先週Dfと一緒に買ったAi AF 24-85mm/f2.8-4 D.これは,今度はシャープな絵を吐き出す.それから,マクロ撮影もできるのが非常に便利.今回,35mm-105mmを置いてきたのは,このマクロ撮影ができないから,という理由だったりする.左の写真は24-85mmで撮った.江東区の洲崎の辺り.昔,江戸時代〜昭和の初期までは,この辺りは花街だったらしい.つい10年位前までは,当時の面影を残すような古い建物も残っていたんだが....今では,東京の下町の老朽化した建物は取り壊され,そして,どんどん,小規模なマンションが建てられて行くのである.それでも,表通りから一本裏に入った街並みは,独特の味わいを醸している.
最後が,70mm-300mm.これは,焦点距離の割にVRなどが搭載されていないレンズなので,手ブレが怖いところ.しかし,Dfと組み合わせて,クロップ撮影をする(APS-Cのサイズで撮影する)と,焦点距離が1.5倍,概ね450mm相当まで稼げることになる.これで,24mm-450mmまでのレンズが揃った,と言うこともできる.左の写真は,駿河湾沼津SAから撮った沼津の市内(多分).クロップ撮影したので,これで450mm相当のサイズになっているはず.遠くに見える光がここまで拡大されるのもちょっと感動的だ.
こうして見ると,つくづく,Dfというカメラは「夜景」に強いカメラだな,と思った.ちなみに,今回掲載したいずれも,White Balanceは特に弄っていない,標準のものを利用.それが,暗い景色を鮮やかに描き出すのはちょっと感動する.しかも,古いMFのレンズでも,Focus Aidがあるおかげで,ある程度ピンは来るし.50mm/f1.4を絞り開放で撮った時の絵なんか,中々感動的よ.被写界深度が浅いので,ピントはすごくシビア,だけどおかげで,背景とかが"色の付いた領域"になるまでにぼけて,主題を浮き立たせるし.これは.....おねーさんを撮るのに良いカメラな気がしてきた.
ここまで綺麗に撮れるなら,今度は青空の日にDfを持ち出してみたいな,と言う欲望がふつふつと湧いて来る.同時に,この手元に残った(多分,もう使われないであろう)標準ズーム,どうしよう?もうこれは少し準Zoomの整理が必要かもしれないなぁ.....と悩みだしてしまった.

2018/09/09

Nikon Dfを買う

先日,Nikonが新しい一眼レフデジタルカメラを発表した.その内容は,レンズマウントを刷新したフルサイズのミラーレス一眼,というもので,それに対して実機を触ってもいない僕が何かを言えない.それはそれとして,そうすると,以前Nikon D200で色々と揃えた我が家のNikkorレンズの資産が問題になる.D200は出た直後に購入したのだが,撮像素子がDXというサイズ.このカメラに,28mm/F2.8,50mm/F1.4,200mm/F4などの古いMFレンズを載せて楽しんでたし,他にも35mm-105mm70mm-300mmなどのAF zoomレンズも使ってた.これらが使えなくなるのは残念だ.Zマウントも,アダプタを付ければFマウントレンズを装着できるらしいが,きっと機能面で色々な制約を受けるだろう.昔の非CPU,非Aiレンズなどが使えなくなる懸念もある.そう思うと,製造が終わって,流通が途切れる前に,FマウントのFX撮像素子を載せたデジカメを買っておいた方が心配は無いかな,と思いはじめた.これが,2周間前のこと.
一方で,昨今の自分の写真の撮り方を考えると,D5とかD850とかの最新のFマウントのデジカメを必要としている,ワケでも無い.実際のところ,伊丹にスタヂヲを構えてからというもの,写真はもっぱらP340で済んでいる.もう少し,レンズが望遠側に振れれば良いとも思うこともあるが,同時に,日常「持ち歩く」サイズとしてP340は中々秀逸だとも思う.僕が今すぐにFXサイズのカメラを必要としているか,と言われると,冷静に考えれば微妙だ.しかも, Nikon Dfは今から4年程度前の機種である.日進月歩のDigital Camera界において,撮像素子は一世代前のD4の頃のもの,今の製品としては解像度が低いようにも思う.動画撮影の機能も載せていないし....その割に,ボディ単体で¥200Kを越える値段だし.以前,Nikon Dfが発表された時に「次はこれに買い換えよう」とも思っていたのだが,やはりすぐにD5も出て,C/P的にいかがなモノか,と思い,そのまま手を出すのを控えていた,という案件でもある.冷静に考えればなぁ....
ただ,物欲というのは恐ろしい.Nikonのミラーレスが出たので,フラフラと中古でも良いから古いレンズのために,今Nikon Dfを1台買って置こうかしら,程度のつもりでGoogle検索をしたのが発端.ざっと相場を見たところ,中古で¥150K程度,新品で¥225K程度,しかもNikon Dfで検索するとGoogleが"Nikon Df 製造中止"などと出してくる.この「製造中止」が本当かは定かじゃ無いが,どうもこれで物欲に火がついてしまった.金曜日の夜,会社から帰って来る時には,もうNikon Dfを買うぞ,と決意してた.ちょっと検索して,どうやら24-85mmの絞りリングがついた方の標準ズームレンズとペアで買えば,ヨドバシカメラで¥300K程度になる,とアタリを付ける.いや,¥300K,高いんだが,物欲が萌えている時は「それで買えるのか」と.物欲が燃えるとそう判断するのね.それで,KORG KRONOS II辺りも買えるんだけど......
そんな経緯で,自分でもどうしたことか,と呆れつつ,ついこの土曜日の午後にヨドバシに走ったのだった.途中,銀行ATMで¥300Kほど,現金を調達.手持ちで¥50Kあるからこれで賄えるはずだ,と.まずは,店頭で値段交渉.本体と合わせて24mm-85mmのズームを買うぞ,と伝え,どこまで安くできるか,店員さんに聞いてみた.すると,Nikon Df Bodyが税込み¥219,000,Nikkor AF 24-85mm/F2.8-4Dが¥81,000,これにレンズのプロテクトフィルタ,液晶保護シート,64GBのサンディスクのSDメモリカード(Bodyと一緒に買うと店頭価格から30% offしてくれる),そして予備のバッテリとバッテリ充電器を入れて,締めて現金での支払い¥289,100.ヨドバシの場合,10%のポイントを使って,大きな金額の買い物のポイントを順次,次の買い物に充てることができるので,なんとか¥300,000内に抑えることができた.もっとも,手持ちのポイントも約¥3,000文程度投入しているけど.さらに,ワイド幅のストラップも¥1,900で入れて.締めて¥291,000でなんとか,一式揃えることができた.
必要なモノを買い込んだら,一度,伊丹の部屋に戻って電池を充電.液晶保護シートを付ける.夜になってから,カメラをセットアップして,さて試し撮りをしようか,とすると....なぜかAFレンズなのに,AFが効かない.なにせ,ピントが思うように合わない.これは何だ?今,他のレンズは横浜にあるし,問題の切り分けもできないしなぁ....と途方に暮れた.参ったなぁ.
だからといって¥300Kの買い物を棚晒しにするワケにも行かないので,日曜の午前中,小雨が降る中,ヨドバシ梅田に行って,他のレンズで同じ状況になるか試させて貰う.店頭のレンズだと,AFのモータも動く,と言うので,改めて昨日買った24-85mmをマウントする...と今度はAFが動いた.やった.助かった.一体何が問題だったのだろう?帰り道は,喫茶店でアイスコーヒーを撮ってみたり,ちょっと試し撮りをしてみた.
まぁ,そんなこんなで,昔の一眼レフカメラのようなボディ形状のフルサイズの一眼レフデジカメが手に入ったことになる.今度,横浜から残りのレンズも持ってきて,少しお散歩カメラとして使って見ようと検討中.これから秋になって,少し外を出歩くにも良い季節だと思うし.何よりも,ミラーが動いてシャッターを切る,この感触がなんとも言えない.P340ではこの感じは無いしなぁ.機能的にはC/Pは悪い買い物だと思うけど,所有欲みたいなのはやっぱり満たされるね,と,シャッターを切りながら感じてしまった.まぁ,ちょっと面白いカメラが手に入ったということで.

2018/09/07

台風21号が教えてくれたこと

かなり強烈な台風21号は,9/4に伊丹スタヂヲの近所を駆け抜けて,日本海側に抜けて行った.JRは早々に阪神地区の各線を止める旨をアナウンスし,会社は前日には終日の出社禁止を決定し,まぁ,自分の部屋でネットサーフィンしながら,台風の情報を集めるくらいしかやることの無い1日だった....のだけれど.そんな中,それは突然起きたのだった.停電である.最初は瞬停が数回,4〜5回程度起きただろうか?うちのiMacは最初の瞬停で見事に停止.そして,その瞬停が数回起きたあと,今度は,本格的な停電が.一度は30分ほどで復帰したのだが,その30分後か,すべての電源が落ちた.電気が無くなると,光であろうと終端装置はshutdownする.すべてが止まったのだった.窓から見ていたら,近所の変電所の辺りでも,何かスパークが飛んでたっぽいしなぁ.伊丹スタヂヲは,冷蔵庫も止まったままだし,瞬間湯沸器も止まった.もちろん,ネットワークも止まる.やれやれ,である.ただ,電力会社は配電設備や配電の網管理に関しては,万全の体制を取っている,と聞いている.なので,時間を経ずに停電も復旧するだろう,と見込んでいたのだが.これがちっとも復旧しない.遠くに見える新大阪とか大阪の地区は,高層ビルの光が見えるのに,伊丹スタヂヲの入るマンションは全然復旧を見せないのだ.マンションなので,停電が起きると水道も止まる.エレベータも止まる.階段の電灯も消える.これは参った.夜になって,懐中電灯でも買っておこうか,と外へ出たのだが,マンションの階段の電灯も消えて階段が真っ暗.手すりを頼りに外へ出て,結局,海中電灯は変えなかった,のだが.....結局,ここまで社会基盤の全体が「電気」に依存しているんだな,というのは実感として持った.もうひとつ,腹が立つのは,線路の向こう側のマンションは,夜には灯りが灯っているのに,線路を隔てたこちら側はBlack outが続いているのだ.結局,夜中の02:30頃に,外で何かやっているなぁ,と思ったら,それから程なくして電力がやっと復旧したのだった.その後,マンションのポンプが復活したのか,水が出るようになったのは,朝の0600頃の頃である.
しかも,翌日,今度は会社に行くと,うちの会社の本体は停電していないのに,僕のいるオフィスは停電,という状況.朝,会社に行く時に,近所の会社の人も何故か始業時間も間近なのに,皆さん建物の外で待機している,という状況.なにがあったのだろう,と自分のオフィスに行くと,どうやら停電のまま,という状況である.これじゃ仕事にならん.そうは言っても,この停電がいつ終わるかが全く判らないといういこともあり,翌日以降の業務をどうするか,色々と調整作業をさせて貰って1日が終わった.まぁ,この日は,終業時間の17;00になったところで,やっと停電からの復旧が確認された.やれやれ,である.
そんな2日間が過ぎたその翌日には今度は,北海道で大地震と全道に渡る停電があって,ちょうど2日前の大規模停電を経験した身としては,中の人たちの苦労もまた自分のことのように感じてしまう.
さて,こうした状況を振り返るに,結局,日本の電力会社は一体何を仕事していたんだろう,と考えてしまうのだ.配電の,それも街中の電灯線の切断の復旧は,多分,電力会社が直接やっていなくて,下請けの〇〇電工とか,そういう外部委託がされていると思うのである.そこの人たちは,日夜を通して復旧作業にあたって頂いて,これは大変頭が下がる思いだ.だけど,では電力会社の経営層は何をやっていたのだろう,という疑問である.彼らは,電力料金の設定に関して,燃料代の高騰に対応して常に「あがり」が得られるような制度を勝ち取った.すなわち,必ず利益を得られる経営構造がある.この中で,これまで十分な設備投資をして来たといえるのだろうか?世間の議論を見ていると,その辺の議論が足りてない気がするのだ.本来なら,

  • 配電施設に関しては,末端の電柱に至るまで,IoTセンサを設置して,どこが現在断線しているか,すぐに検知できるシステムを組めなかったのか?
  • その情報を吸い上げて,今どこで何をしている,という情報を展開できるよう,情報管理ができないものか?
  • 関電に関しては,想定外に配電設備がダウンして,停電情報を適切に収集できなかった,と言うけれど,そもそもなぜ情報収集のサーバを大容量化することをサボっていたのか?
という疑問が生まれて来てしまうのだ.北電に関しては,大規模な発電所を1箇所作っていたと言うけど,やはり多重系の考え方が取り入れられていないんじゃ無いか,という疑念は抱いてしまうのだ.本来,評価されるべき箇所は,そこである.これに対して,電力会社の広報は,今のところ「想定外」という一言で済ませているように見えて仕方無いのだ.
多分,これは社会システムのインフラをサービスする全ての企業に言えることだ.現状がどうなっているか,その情報を適切なタイミングでユーザに提示して行く,という姿勢があまりに欠如しているように見える.公企業だからこそ,こうした姿勢はもっと神経を使った方が良いし,必要なら,たとえポーズでも良いので,社長や部長といった経営陣がサポートセンターで直接ユーザの声を聞く,とか,そういう姿勢を示してほしい,それが高い給料を貰っている経営陣の責任,なんじゃ無いかと思えて仕方無いのだが.初戦,この国の経営者は,そういう姿勢を見せることなく,この国の経済を殺して行くのかもしれない,とも幻滅している.
ちなみに....米国の場合,配電系はどうやら地方自治体の責任になっているらしい.その上で,良く落雷で停電していたのは事実.そこは,日本の電力会社の方が,しっかりしていた,のかもしれないが.しかし,ここまで「止まらない電源」を前提にして色々なシステムを組んでいるのも,あるいは問題なのかもしれない,とも思う.