最近,TEPCOの会社としての発言が,どうにも気になって仕方無い.会社の置かれている状況や会社の責任ということに対して,何か,事実誤認というか,ひたすら「俺は悪く無い」と言っているように聞こえて仕方無いのだ.
例えば,今回の津波被害は,想定外の天変地異が招いたものだ,と言う.これは予想外なので,その賠償を全部背負わせるんじゃ無い,と言う.許認可は受けた,レギュレーションに則って運営してそれでも起きたんだから,これはみなさん仕方ないことだと諦めなさい,と言っているのだ.確かに金額だけを考えたら,その結論を導き出したいのは判る.しかし,ちょっと待てと思う.
では,電力自由化にひたすら反対して,地域独占を維持しようとして来たのは誰だったのだろう?あるいは,原子力発電所での電源全損失という事故の可能性を(地震や津波が無くたって起こり得る事故を)一切無視して,その対策の必要性を否定していたのは誰なのだろう?しかも経済性を理由に「古い原子炉」をひたすら使い続けていたのは誰だろう?レギュレーションを作る側とレギュレーションに則る側が完全に分離されていて,その状況下で「レギュレーションに則って運営したのに...」というのなら,まだTEPCOの言い分も判らないでは無い.しかし,現実には,強力なロビー活動を繰り広げて来たのはTEPCOであるワケで(もちろん,それ以外の電力会社もそれ相応のことはしているんだろうが,どうも,この点でもTEPCO以外の話をあまり効かない),その責任はどうなんだ,と尋ねたくなる.スマートグリッド等の新技術の取り込みについても,関電や中部電力等の「その他の電力会社」の方が,技術屋としても適切な動き方をしていたように思うのだ.
多分,今回の事故が発端になって,TEPCOは一回,精算に近い扱いを受けて良いと思う.それこそ,発電会社と送電会社を分離するとか,それくらいのことをして,その上で新しい「電力技術」を取り入れるべきだろう.ついでに,多分,TEPCOで「成功した人」は一度,リタイアしてもらうくらいにした方が良い.本当に技術屋としてのコアコンピタンスを持っている人だけを残す,それくらいのことをしないと,悪い習慣が今後も伝搬して行くような気がしてならないのだ.
そういうことを含めて,企業として本当に表明して良いことを表明しているのか?その辺りがどうにも掴めない.多分,企業として優先すべき投資の優先順序が違ってきた,それを変えろ,というのが,今,TEPCOに社会から求められていることなのだ.それが判って,TEPCOの経営者達は語っているのだろうか?あるいは,将来,「TEPCOが守られた」として,その時に自身の活躍が語られることを夢見て,今の発言があるのだろうか?どうも,大企業の悪い癖が出ているような気がして仕方無いのだな.
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