地震直後から、状況の悪化が止まらないと騒ぎになっている福島の原発事故、現場で作業している人は本当に大変だと思う。フロントに出てくる広報関係者の情けない発言が、現場の努力に泥を塗っているように見えて仕方無い。
原発については、すでに広く報道されている通り、炉心の核分裂反応そのものは停止していて、今の課題は場内の核燃料の崩壊熱の処理のように思う。で、問題は、この冷却系システム(ECCS)が故障してしまって動かない、ということにつきるようだ。地震後の運用にあたって、システムの使い方に間違いがあったという話は聞こえて来ない。そうすると、そもそも、原子炉システムにとって止めてはならないサブシステムであるECCSが「止まってしまった」という事態を許した、そもそものシステム設計が適切だったのか、妥当だったのか、という疑問が生まれてくる。この原子炉は、GE、東芝、日立あたりが設計したものらしいんだけれど。
ここは、是非、システムを設計したエンジニアに聞いてみたいのだが、聞こえてくる範囲ではどうやら今回の規模の津波は起きないから、という設計前提を置いていたらしい。でも、これは理由付けとしてはおかしくて、例えば冷却系を止める事象は津波だけなのだろうか?あるいは火事や別の故障原因は考えないのだろうか?故障してもポンプは2台だから大丈夫、程度に考えていたんだろうか?あるいは、使用済燃料を置いておくプールの冷却はECCSのサポート範囲外として、燃料プールは温度が上昇しても問題無いと考えていたんだろうか?もし、このようなことであれば、それはシステムとして起きてはいけないこと、を想像する範囲が狭いんじゃねーの、おめーらそれでもシステム設計のプロかよ、と思うのだ。本来、緊急時の処理として、ECCSを止めないことが大事なのだから、そこで起こりうる全てのことを考慮しないといけない。それが出来ていなかったよね、と言うのは、事実だと思う。そして、この様な思考を助ける道具としてFMEAやFTAなどの手法もあるのだ。
東京電力が、電力供給のベースロードとして、原子力発電を位置付ける以上、こうした考えを忘れてはいけない。そして、炉が古いと言っても、こうした施策を選んだ以上、多分、原発を僕らは手放せないのだ。だからこそ、今何をすべきか、考えないといけないと思うんだがね。そういう視点を持たないエンジニアリングが生んだ悲劇としか言いようが無い。
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