2023/12/04

Arturia Audio Fuse 16Rigを試したけど,惨敗中

ここのところ,都内実家出張所に,コンパクトにDAW環境を用意しようと検討をしている.広くはないマンションの一室に,親の介護をしつつ,少しでも楽器を揃えて宅録作業が出来ないか,という画策をしているのだ.

そんな中,ArturiaからAudio Fuse 16Rigという19" Rack 1Uサイズの32 input, 28 outputのAudio I/Oが発売されるという情報を得た.これ,最初に見たのはYouTubeのReview Videoだった.へぇ,そんなのが出るんだ,ということで,ちょっとArturiaのサイトを漁って見た.

  • Analog in 16ch, Analog out 8chという豊富なAnalog I/O
  • ADAT in 16ch, ADAT out 16chという十分なDigital I/O
  • USB Hubの機能も持っていて,さらにDin MIDI portが2つ出せる
  • USB-Cでホストと繋ぐ構成

これは,伊丹スタヂオで展開していた26UのRackをコンパクト化するのに良いんじゃ無いか?と思い立った.

今,都内実家出張所ではSonnet TechのEcho 20 Thunderbolt 4 Dockを入れていて,MacBook Pro 14"からはThunderbolt 4ケーブル一本で繋いでいる.これはUSB-Cポートを4つ,USB-Aポートを4つ,Thunderbolt 4を2系統出せる.Thunderbolt 4の1本は外部27"モニタ用に使っていることもあり(Echo 20からはMonitorにUSB-Cでは繋げないという仕様らしい),Thunderbolt 4でDTMの機器に使えるのは1本だけ,これはUniversal AudioのApolloとMOTU 828esをシリーズに繋いで使うつもりだ.この状況だと,USB-C portを使える,I/Oの豊富なAudio I/Fは大変ありがたい.

MIDI音源は伊丹Studioから持ってきたIntegra-7, Motif Rack XS,Vintage Pro,Ensoniq MQ-Rackを繋げれば嬉しい.すると,Audio Fuse 16RigをHubにして,これら一式を纏められそうだ.キーボードはすでにKorgのMicrokeys Air 61を用意しているし.録った音へのEffect用outboardは,先日中古で手に入れたUAのApollo 8を使えば,Guitar/Bassのampも最低限揃えられそうだ.それに伊丹で使っていたHELIX Rackも1台遊んでる.ちょうど,Apollo 8用に10Uの据置き19" Rackも買ってたし,なんかこれでうまくまとまるんじゃね?

そんな訳で,Audio Fuse 16Rigを都内実家出張所のmain mixerとしてシステムを組んで見よう,という気分になったのが10/25のこと.その後,国内の楽器屋さんのサイトを漁って見たら,10/28に販売開始という告知も出てた.

ちょうど,Apollo 8を19" Rackケースに収めるためのRack mount用ネジを調達しようとして,駆け回っていた時期だったのだが(これが,最近,大手楽器販売店では扱いが無くなってて往生していて...),その際,神南のRock oNに立ち寄って,Audio Fuse 16Rigをどこまで値引きできるかも聞いてみた.Digimartに出ていた最安値が¥206,250程度,これを端数切捨て迄はしてくれる,とのこと.どうも,メーカ希望小売価格は¥275,000くらいらしいので,ここまで下げてくれれば納得感もあるな.そんな訳で,オーダを淹れたのが11/01のこと.Rock oNの受付の兄ちゃんは,その場でKIDに電話して国内在庫を確認してくれて,配送日程も調整してくれたし,とても助かった.こちらの都合も色々あったので,結局,都内実家出張所にAudio Fuse 16Rigが到着したのは11/07のこと.まぁ,発注から1週間で届いたし,良い方だろう.

さて,ここまではとても良いUser Experienceだったんだが,ここから色々と悩ましい状況になってくる.概ね2〜3個ほど,うちのDTM環境に組み込んで気がついたことがある.

  • セットアップの問題

19" Rack Mountの耳は,desktopで使うことも想定して,別パーツとして梱包されている.本体に植えられている六角ネジを,付属のトルクスで外して,耳を付けて締め直すんだが,この六角トルクスネジがとても小さい.床に落としたらどこかにお隠れあそばしそうで,怖い.マニュアルもこの辺りの記述が意外と不親切だった.

また,ソフトウェアのダウンロードも悩ましい.どうも,まずSoftware Contorl CenterというSWをダウンロードしろ,と言われるので,製品のレジストレーションをした後で,このSoftware Contorl Centerをダウンロード,インストールする.さて...ダウンロードされたソフトを見ると,AUのplug-inとかはダウンロードできるんだが,Audio Fuse 16 Rig本体の設定用ソフトウェアが見当たらない. 

うーむ,と悩んでマニュアルを見直すと,どうやら別にAudio Fuse Control Centerというアプリをダウンロードするらしい.Google ChromeでArturiaのサイトにアクセスしてダウンロードしようとすると,今度は何故かダウンロードが不可となる.何度かやってもダメだったので,これはArturiaのサポートに連絡.その後もグダグダやってたら,safariでアクセスしたらダウンロードが出来た.Arturiaのサポートによると,どうやらArturiaのダウンロードサイトはhttpsで設定していないらしい.このため,Google Chromeでアクセスするとファイルがダウンロード出来ないとのこと.うーむ,まぁ,Safariで落とせたから良いけど,運用上,これは良いWebサイトの状態なんだろうかという懸念は残る.

  • Audio Fuse 16Rigを外部同期で運用しようとするとHangする

やっと,色々と設定ができるようになったので,ざっくりと,Audio Fuse 16Rigを設定してみた.Mixerとしては,簡単に言えば16ch Analog+16ch ADAT,4 Aux busを持ったMixerという感じになる.うちのDTM環境では,MIDI音源を4つ(Motif Rack XS,Integra-7,Vintage Pro,MR-Rack), DrumとBassの音と上モノを分離してEffectをかけようとすると,Aux BusをStereo 2 busの出力として扱うのが良い気がする.

そうすると, 音録りにはやっぱり,別のAudio I/Oを準備した方が良さそうだ.幸い,伊丹に導入したMOTU 828esをこちらに持ってくればこれは可能だ.Apollo 8はGuitar/Bass系の音を纏め(HELIXもApollo 8でまとめる)ことにして,こちらもMOTU 828 esにADATで送り込めば貴重なanalog I/Oを使わずに済む.DAW上の音録りは,MOTU 828esで纏めるのが使いやすそうだ.ADATでのデジタル同期を正しく機能させるためには,MOTU 828 esをinternal clockで,Apollo 8とAudio Fuse 16Rigを外部Word Clock同期 48khzで動かすように設定する.このためのワイヤリングを済ませたら,テストを兼ねてradikoの音をAudio Fuse経由でストリーミングデータを受けて,これをADATに流してMOTU 828esに送るようにroutingして暫く音を流してみた.するとどうだろう,Audio Fuse 16Rigからの音の出力がピタっと止まることがあるのだ.ホストのMac上ではradikoを流しているのに,音がピタっととまる.試しに電源を入れ直して設定をし直すと,また暫くは音が流れるのだが,暫くするとまた音が止まる.どうやら,Audio Fuse 16RigがHangしているらしい,とアタリがつく.

連続稼働時間に依存するのか,と思うと,必ずしもそういう訳では無い.ある時は20時間は動いた(けど,24時間は持たない,いつも1500〜1700頃は不安定になる)し,あるときは20〜30分程度でHangする.しかも,rebootするとAudio Fuse 16Rigの外部同期の設定がクリアされる.大抵の場合,一度Hangしたら2回か3回,rebootしなくちゃいけない.外部同期の設定を修正する前にすぐにHang upすることもあり,非常に動作が不安定だ.これは正直参っている.

Artriumのサポートには本件報告して,reboot時に外部同期の設定がクリアされる問題はあちらも認識しているとのこと.ただ,あちらでは8時間連続稼働させてもHangすることは無い,と言われている.他社のAudio I/Oとの同期はまだ試していないらしいし,48khzでの同期も試していないらしいが....どうも,うちの個体だけの問題と言われて往生している.Sleepのせいじゃ無いか,と言われたのもあり,MacBook Pro 14"をrebootしてからストリームデータを流してみるが,やはり暫くするとAudio Fuse 16RigはHang upする.これでは安心して宅録環境のmixerとして使えないなぁ,という状況.¥200Kの出費なのに,とも思うが,これなら伊丹で使っていたMOTU 16A+MOTU Micro Expressのセットと入れ替えるか,現在悩み中.この場合,都内実家出張所の19" Rackが埋まってしまうのと,Thunderbolt 2 busをもう一本確保するためにThunderbolt 4 Hubも準備しないといけないなぁ,と,狭い実家出張所の中で改めてワイヤリングをしなおす作業に躊躇してまだ,手を付けられていない.

 可能性としては,Thunderbolt 4 Dockが悪さをしているかもしれず,ちょっとAudio Fuse 16Rigを直接MacBook Pro 14"にぶら下げたらどうなるかは確認してみようと思い,MacBook Pro 14"の別のThunderbolt 4 portに直接繋いでみたんだが,Hangする状況は変わらない.中途半端に不定期な間隔で,だが確実にHang Upするのだ.Artriumのサポートの方ではHang upは再現しない,お前の個体だけみたいなのでLocalのディストリビュータ(K.I.D.)に見て貰えと言われている状況で正直参っている.色々と結線して試した後でそれ言われてもなぁ....orz....新しいFirmwareも落ちてこないしなぁ.悩ましいところだ.

  •  Audio Fuse 16 rigのUSBポートはMIDIしか流さないの?

YAMAHA Motif-Rack XSとRoland Integra-7は,USB2.0接続でMIDIを送れるのが大変助かるところ.Audio Fuse 16RigがUSB-Aポートを持っていることもあり,ここからUSB Hubを通して分岐しようと当初考えていた.DTM用のRackと,一般のデスク環境とは,USB-C1本で繋ぐ形にすることを想定していたのだ.

ただ,これは実際にはうまく行かなかった. 背面のUSB-AポートにUSB Hubを通してMotif Rack XSとIntegra-7を繋いだんだが,なんか,MacOSのAudio MIDI setup側からはこれらの機材が見えない状況が見えた.まだ十分に確認は取れていないんだが,この辺りはちょっと注意が必要かもしれない.フロント側のUSB-AにはKorg Microkeys AirをUSBで挿していて,これは認識されることを考えると,あるいは可能なのかもしれないが,一度やって駄目だったので,今はリアパネルのUSB portにUSB Hubを噛ませてIntegra-7等をぶら下げる運用は避けている.ただ,そもそもAudio Fuse 16RigがHangするような状況では,rebootの都度USB portが落ちるので,うまく運用できないのも気がついた.そもそも,Audio Fuse 16Rigをrebootすることになるか,予測不可能なのだもの.実際,Audio Fuse 16Rigをrebootするときに,Microkeys Airはresetされている状況だ.

これに関しては,マニュアルもちょっと不親切で(大体,今配布されているAFCCのマニュアルは,Audio Fuse 16Rigに関する記述がまだ無い),現在のマニュアルでは,MacOS 12のAudio MIDI 設定上でどのように設定すれば良いか,正直明記されていない(見つけられていない).Audio MIDI設定の上では,Audio Fuse 16Rigは,MIDIの入力2port・出力4 portを持った機材として見えているのは判っているんだが...,ってそれ,USB-Aの先にHubがぶらさがること考えて無い..んじゃね?取り敢えず,Vintage ProはAudio Fuse 16RigのDIN MIDI 1 port経由で繋いで,MIDI信号がVintege Pro側に流れるのは確認出来たのだけど.

そんな状況で,残念なことに拙宅のDTM環境では,まだ,Audio Fuse 16 Rigはうまく動作していない.もう少し,設定やワイヤリングを色々と見直しているが,これは初期不良と言うことかな?いずれにせよ,一度,LocalディストリビュータのK.I.D.に,機材を送り返して見て貰うのが良いのだろう.ただ,Audio Fuse 16Rigを外す期間のために,今は寝かせているMOTU 16AやMOTU Micro Express,AVB HubやThunderbolt 4 Hubを持ってくる必要はあるし,ワイヤリング全体も見直さないといけないし.机周りのケーブルをすっきり整理してコンパクトなDTM環境を構成したいと考えて導入したんだが,1ヶ月奮闘して,当初の目論見が達成しない感じがする.せめて,Audio Fuse 16Rigの新しいFirmware updateが出て,同期設定が本体に保存されるようにならないか,とも思うんだが.これからこの機材を導入する予定の方がいれば,この辺りの情報が少しでも役に立てば嬉しいなと思って,途中経過だけど上げておく.

最後に,Audio I/Oとして,Audio Fuse 16Rigの出音は素直で良いと思うけど,Ch毎にNoise GateやCompressor等を挿せないのは残念.この点は,MOTU 828 es等のAudio I/Fの方が使い勝手が良いと思う.MOTUのAVB対応のAudio I/Fは,現在,軒並み国内の在庫一掃しているようで(Thunderbolt 2でbus throughできない構成のAudio I/Fなので,大規模システム化が辛い,市場からThunderbolt 2がほぼ払拭している,という状況を考えると,あるいはこの辺りの機種を入れ替えることを考えているのかもしれないなぁ),入手が困難なのが悩ましいところだけど.ちなみに,拙宅で48khz samplingで統一しているのは,AVBの制約によるんだが,個人的にはAVBの規格は手軽で良いと思うのだけどなぁ.

2023/04/02

Ibanez SRF-700を試す

 つい出来心で,また1本,やってしまいました.本当に衝動買い.普段なら買わないと思うんだけど,ほら,一昨日,会社も終わったし.Ibanez SRF-700を1本,買ってみた.梅田のワタナベ楽器大阪店で¥84K.

ことの発端は,大阪梅田LOFTの島村楽器にリペアに出したRoland A-800 Proを引き取るため,4/1にちょっと梅田に出たことだった.今度,昔からの馴染みからJazz Bandのベースをやれと誘われてて,Jamする前にFlatwound弦を張ったフレットレスベースを用意しなくちゃな,と思い始めてたのだ.そんな訳で,島村楽器に行く前にちょっと近傍の楽器屋を覗いたのだ.とりあえず,と,ワタナベ楽器の大阪店に行って,ちょっと店頭に並んでた安物のフレットレスベースをいくつか物色してみた.最初は¥40K程度で安い箱物を弄って見たんだが,どうも弾きづらい.次に出てきたのが,IbanezのSRH505F.piezoだけで,まぁセミアコなんだけど,5弦ベースはどうも勝手が判らん.Low Bの5弦,やっぱり弾きづらい.最後に試したのが,SolidのSRF-700.4弦だし,ネックも細いし,最初からFlat Wound弦だし.piezoとactive pickupが2本という構成.まぁ,悪く無いというか,最初の2本と比較するとやっぱり弾きやすい.これ,以前もどこかの楽器屋で試奏させてもらってて,悪く無いなぁとは思っていたんだけど.今回の個体は,付いてたprice tagはoutlet品で¥89Kとちょっと.ちょっと弄って,これなら悪くは無いかなぁ....と.ただ,この日は,お財布に持ち合わせが無かったし,ちょっと考える,と店をあとにしたのだった.

帰ってからDigimart等を検索すると,どうやら,最近価格改定が行われたらしく,この個体はある意味古い価格で仕入れたヤツらしい.そんな訳で,早くに売っちゃいたいという店側の意向もあったのだろうか,なんか,他の店だと¥115Kとかの中で¥89Kという値段はまぁ,安いやね.1本,持ってても良いかなぁ.Digimart見てても,あまり流通している本数は多くはない模様だし.昨日,会社も定年退職したし,自分へのご褒美にもこれならなる,かな.

そんな訳で,翌日,早速ワタナベ楽器へ現金を持って行ってみた.まだ,この個体は残ってて,それなら良いか,と.で,現金で払うけどギリギリどこまで行く?と聞いたら,¥84Kまで値引きする,というので,それならとフラッと買ってみた.

それにしても,なんで大阪ってこんなにフレットレースベースが流通しているんだろう?以前,Stingrayを買ったのも大阪だし.元々,若者でそんなにフレットレスベースを弾くヤツなんて,そうそういないもんだろ?それなのに,意外と中古も含めて流通している印象がある.なんだかな.

取り敢えず,伊丹スタヂオに持ち帰って,ちょっとHELIXでベース・アンプのモデルで試して見た.まぁ,悪く無いですよ.やっぱりactiveだけど,piezoだけだとちょっと出力が小さいかなぁ.Bartoniのpickup2本が付いてて,こっちの方がちょっとだけ出力は高めな感じ.ネックはやっぱり細い気がする.ネックはMaple+Walnutの5pc Through Neck.長期的に捩れたりしないかはちょっと心配.修正が大変になりそうだからねぇ.まぁ,太い音は出るし,round wound特有のひっかきノイズは出ないし.良いんじゃ無いかなぁ.取り敢えず,jamで使って見て,それからだな.


2023/04/01

会社勤めが終わった

 先日,3月31日に,長年勤めた会社を定年で退職した.大学院修士課程が終わってから34年,まぁ,長かったよね.良かったことも悪かったこともあるんだが,なんとか最後迄走りきった.親の介護問題なども勃発した最後の1年,どうなるかドキドキしていたが,これで当面,生きてくために稼ぐ活動は,一区切りをつけることになる.今後は,しばらく純粋な消費者として,何者にも縛られない活動をしていく予定ではある.まぁ,所属した企業の中で,色々とやり残したことはあるという点では「やりきれなかったな」と思うところもあるんだが,このままずるずる会社に居てもね,という話と,両親がほぼ同時に倒れたのでその面倒を見ないとなというので,一回,ここで積極的にお休みを取ることにする.

企業というのは,どうも,面倒で本質的でない作業も色々とあって,まぁ,CMMIに基づくプロセス改善等の活動もやっていた立場からは一概に否定は出来ないのだけど,でも企業としてのガバナンスが強化される中で,企業体に所属しているのが面倒臭くなったのも事実だ.今後も多分,ソフトウェア工学の面での作業を趣味として続けて行くつもりだけど,一回,社会的にはきれいに抹殺されてみたいなとは思っている.

ただ,企業に所属していない状態になると,年金が得られるまでの期間をどう過ごすか,悩ましいところではある.どうしても現状では月¥200K程度は生活費にかかってしまうし,あるいはこれにケータイや電気代等のインフラサービスの費用や税金も乗ってくる.手持ちの資金が足りなくなったら,なにかバイトするとか考えないといけないかもしれない.個人的には,ここで,自分の趣味全開でいくつかやってみたいことはあるのだけど,どこまで出来るかなぁ,とちょっと心配中.やっぱり,趣味をカバーするように起業して節税するとか,色々考えてみたいところだなぁ.何が出来るか,どうすると良いか,良い指標を持ち合わせていないのが現状だ.

本質的な問題としては,企業体が定年を60歳のままにして,政府の制度的には65歳にならないと年金とかの配布をしない,という現行制度の問題はある.そして,この隙間の5年間の過ごし方の選択は,ひとつは嘱託として給料半減,だけど仕事量は同じで仕事するか,あるいは無職になるかという選択肢程度しかないのが悩ましいところだ.まぁ,今回は親の介護も考えなくちゃいけないのもあり,後者を選択したけれど.そうじゃ無くても,多分後者を選択するのは同じだろうな.

今後が不透明なのは,親の介護に対するイメージが具体化出来てないことが原因だ.どうも,介護の制度が地方自治体単位で細切れになっているらしく,「適切な介護」がどういうものかのイメージを持てないでいる.親からすれば,世間から隔離されちゃう介護施設は,姥捨て山に感じるのだろう.一方で,在宅介護にすると色々とサービスが細分化されていて全体像が見えないのが悩ましい.それはこっち,それはあっち,みたいなのが面倒.しかも,それを家族の介護担当者に委ねられるから,他の選択肢がどういうものなのか判らずに苦労することになる.制度アーキテクチャが悪い,という言い方も出来る.この辺り,いかに政府が考えてないか,あるいは政府が考えさせないようにしているか,ということなんだろう.多分,この国はこれから老人には過ごしづらい国になる気がする.なんだかなぁ.ま,今の時代,世界のどこに行っても,多分,過ごしづらいところが多い気もするけど.....