2013/05/26

Design Thinkingというアイデア

先日,以前からの知り合いが会議の席で"Design思考"というキーワードを使っていた.彼の言うことにゃ面白いことが多いんで,何なんだろう,とちょっと気になった.というか,本を読んで見た.まずは,簡単にこちらの本.
Tim Brown, Change By Design - How Design Thinking Transforms Organization and Inspires Innovation,  HarperBusiness (2009).
千葉敏生訳, デザイン思考が世界を変える:イノベーションを導く新しい考え方, 早川新書 (2010). 
まだ本の途中ではあるけれど,Design ThinkingとはUser Experience(UX)を設計する,ということだ,という理解に至った.もちろん,新しいカタチのUXを設計することが出来る(従来の慣習の束縛を逃れてもっと便利に出来る)からこそ,そこにMonetizeの可能性もあるワケで,そこまで含めてDesign Thinkingなんだろう,と言う理解だ.この考え方は,Requirements Elicitationの手法のひとつとして位置づけると,個人的には非常に合点が行くものである.Requirements Engineeringの立場からすれば,Requirements Elicitationにあたって,まずはユーザなり顧客なりに対する共感を抱く,問題を共有した上でユーザや顧客に新しい価値観を提案する,ということの重要性を示しているとも言える.そこまで踏み込んでアイデアを創出出来ていますか,って言う問いかけと思えば,一々納得の行く話だ.個人的には,むしろ,UXというものを正しく定義するとこういう意味なんだ,ということが何となく判った,という点にこそ,この本を読む価値を感じた.うん,MicrosoftがUXの向上,なんて言っているけど,UXはPCの使い勝手,なんて話じゃ無い,もっと大きなSocialなExperienceを取り上げることこそが価値のある視点なんだよ,と言うことを理解した.
翻って,これを日本のinnovation,という視点で考えた場合,個人的には,このアイデアを創出する部分,というのは,若い子は自然に(本能的に)やれている子は多いんじゃ無いかと,期待している.日常生活の中で,道具を使っていて感じるちょっとした「不思議!」や「納得がいかない!」と言った類,感じたことをきちんと集積して整理して行けば良いのだから.日本のinnovationがどうしようも無い理由は,Tim Brownも指摘しているが,こうやって生み出された「アイデア」をしっかりとMonetizeまでつなげる,そこのプロセスの遂行に困難が多いことなんじゃ無いか?正直なところ,そう思っている.特に企業の中で,新しいことを立ち上げる時の苦労とか,無駄な労力とか,人を納得させるとか.そこに様々な自己規制が入り,組織からの枝刈りを受け,結局,丸坊主にされたビジネスは,本来アイデアが持っていた先進性の「肝」の部分をすり潰され,形だけが残っている.それでも,経営陣はそこにinvestmentをすることに抵抗し,そして既得権益を持った人々がその新しいアイデアをMonetizeすることを全力で阻止する.結果的に,日本のinnovationは,無駄にコストがかかりMonetizeが出来る前に挫折して行くんじゃ無いだろうか?
例えば,具体的に,日本の家電メーカは「売れるモノ」が無いと言う.一方で,Appleが(あるいはそれ以外でもいいや,海外のメーカが大したことをやっているワケでも無いのにあんなに儲けている,と言う.その挙句に,偉い人達は「現場に出て "売れるもの"を探してこい」と言うらしい.一方で,ちょっとしたアイデアは,現場に近いところの管理者が「それはうちの仕事じゃ無いだろう」と言って潰しに行く.結局,こうした状況から逃れるとすれば,それこそ,Long Tailを攫うことを目的に,Cloud Funding等のメカニズムを使ってスタートアップする,というストーリに乗らざるを得ないんじゃ無いかな,と思ってしまう.多分,誰もが「負け」の責任を取りたく無い,ということなんだろう.安全に大きく儲ける,と言うスタンスなんだろうな,とも思う.同時にそれは,新しいUXを提供する,というスタンスが無いから,きっと本当の問題を解決しない.Appleに負けるのも当然のように思う.結局,二番煎じなビジネスしか立ち上げられないから,コアのMonetize Machineを持ち合わせないことになる.既に市場の大勢は決まった状況で,お零れに預かるような姿勢じゃ,そりゃ,今の「モノが売れない」という状況を脱することは出来ないような気がする.
問題は,彼ら,「潰しにかかる人」をどうやって説得し,そこをどうやって動かしていくか,もっとSocialな取り組みになるんじゃ無いだろうか?細分化した様々な産業を横につないで,色々な利害関係者の誰もが少しずつ(今迄のビジネスモデルから考えると)損をするかもしれないけど,全体で見るとMonetizeがより強化される,そう言う仕掛けなり仕組みを作っていくことが出来ないといかんのだよなぁ.どうやると良いんだろう,というのは,僕もこの歳になっても判っていないけど.もっとSocial Architectureをモデル化して,その上で色々な議論が出来るようになったら(もっとComputer Science的なアプローチで経営とかの問題にあたったら),あるいは世界は変わるんだろうか?そこが,個人的にはすごく気になるなぁ,と思ってしまった.まぁ,時間が立てば,日本もメーカだからどうだ,という議論はしなくなるように思うけど.どれくらいかかるかね..

2013/05/21

Dr. Yellowを見たよ

某出張で,東京駅の新幹線ホームに行ったら,居た.なかなか見ることができない,と評判の,Dr. Yellowである.思わず,写真を撮ってしまった.まぁ,保線用の車両なんだから,必ず端っこまで来るのは当然なんだが....ね.

あー,これで何か良いことが起きれば良いけど.....ねぇ.逆にこれで運を使い果たしてたらなんだかな,という気もしないでは無い.

2013/05/18

MusicMan Stingray調整する

一昨年,伊丹に来てから最初に買ったMusiMan Stingray 4Fretless,なんか弦高が微妙に高い気がしてきた.去年の夏に,三木楽器で調整してもらったばかりなんだが,なんかなぁ...と言ってても仕方無いので,ちょっと調整してもらうことにした.Webで探して見ると,以前はBassManiacsと言うアクティブベースで一世を風靡したTUNEが,今は尼崎の園田の駅のそばにショップを構えてる....らしい.しかも,他社製品も含めてリペアも受け付けてくれる,と書いてある.これ幸い、BassはBass屋へ,と,ちょっと持って行くことにする.朝,起きたらまずメールでコンタクト取って,値段を聞いてみると¥4,000もしない、と言う返事.時間も1時間もあれば対応出来る,って言う.んじゃ,ってんで,Hand Carryでお邪魔して見た.
住宅街の一角のマンションの1階にありました.小さな工房でやってるぅ.特にShow Roomを開設しているワケでも無く,お二人だけで,こじんまりと仕事されてました.今は,もう受注生産が主体らしい.でも,部屋のなかには,いわゆるエキゾチックウッドも何枚か置いてあったり,中々,ギター工房をこういうところでやるんだ,って言う感じ.近所にこういうショップがあるのは,非常に心強いところだ.4弦がどうも弦高高くなってきた気がする,って言う話をして,ちょっと下げて貰う.4弦をさげると今度は3弦が微妙に高い....なんて話をすると,じゃ,4弦を基準に全体をバランスとりますねぇ,と.ついでに持ち込んだ新品のベース弦に替えて貰って,ついでにpre-ampの9Vバッテリ見て貰って,〆て¥5,000を切るくらい.どうも,Stingrayはネックが太くて,しかもネックのエッジが立っているので,握りを太く感じるというか,弦高が高めに感じるものらしい.かなりぎりぎりまで弦高を下げて貰って終わった.ネックは若干起きているそうだが,どうもそのあたりは調整はしていないみたい.作業そのものも,1時間もかからないくらいで終わって,まずは満足.
ショップによって,随分と対応が違うよなぁ,とも思わないでは無い.ま,まだネックが安定しているなら騒ぐ必要は無いかとも思うんだが,もう少し,ネックの反りも調整してもらえると嬉しかった....かな.ま,ギターにせよベースにせよ,結構,弾き手の感覚的なところもあるので(しかも人間の感覚ベースだと不安定だし),なかなか難しいところではあるんだが,今度,一回,zinギター工房にもってったらどうなるかも気になるところではあるなぁ.....